ラムのシェイクスピア

『名前だけは知ってるし、テストに出たから作品のタイトルもいくつかは
言える。登場人物だってわかるのに…どんな話しなのか興味はあっても、
シェイクスピアの戯曲なんて読めなーい。なんだか言葉が古すぎて
とっつきにくいんだモン!』
なんて、憂いのある横顔でつぶやいたそこのアナタ。 アータの気持ち、
よーくわかります。得てしてありがち。だって、私もそうだから。
 そこで、マモちゃんからの朗報(注:マモは私の分身)!
少年少女向けにわかりやすく物語り化された『シェイクスピア物語』
という本をご紹介します。
 『シェイクスピア物語』は、今から約130年前に英国のメイリイ・ラムと
チャールス・ラム姉弟よって書かれ出版されたもので、この文庫には原作
全20編の中から翻訳された14編が納められています。少年少女向けとは
言え、古い言い回しを大切にしながらもわかりやすく、シェイクスピアが
編み出した物語りの世界や時代の空気を壊すことなく 描かれているので、
大人のアナタが読んでも引き込まれること請け合いです。
そして、読んでみたらシェイクスピアの四大悲劇がホントにどうしようも
ないほどの悲劇なんだってことがわかります。復讐・すれ違い・勘違い・
殺人・裏切り・そそのかし・精神破壊・罠のオンパレード。
『リヤ王』なんて最悪です。コーデリアの美しい心以外、なんの救いも
ありません。みんな死んじゃうし。
こういうお話しを読むと、なんだか暗い気持ちになりそうだけど、時々、
日本のメロドラマの原点は英国文学にあるのではないか? と思わされる
ことがあります。ブロンテ作『嵐が丘』の主人公ヒースクリフの
キャラクターも、「仲良しだった幼馴染みの男の子が、あることを
きっかけに冷酷無比な大人に変貌する。」ってとこいらへんが、どうも
昼メロで観たような気がしてなりませぬ。
ただ、どんなに悲劇でも、読んでゆくうちに、人として誰もが持つ
エゴイズムや心の闇を改めて認識することも必要かも?などと殊勝な
考えに至ったりして、そんな気持ちになった自分がエラく頭のキレる人間
に思え、ちょっとしたインテリ気分を味わえたりもするのです。
ええ、錯覚ですとも。
 古典てどうしても敬遠しがちだけど、わかりやすいところから入ると
意外にイケる…こともある。紫式部の『源氏物語』は大和和紀の
漫画『あさきゆめみし』や田辺聖子の『新源氏物語』から、ホメーロスの
『イーリアス』も阿刀田高の『新トロイア物語』やギリシャ神話から 読み
はじめればきっとイケる。マモちゃんはそんな気がする。…んだそうです。

【参考文献】
※「シェイクスピア物語」ラム/松本恵子 訳:新潮文庫
※「新トロイア物語」阿刀田高:講談社文庫
※「イーリアス 上中下」ホメーロス/呉 茂一 訳:岩波文庫
※「新源氏物語 上中下」田辺聖子:新潮文庫
※「あさきゆめみし 1〜13」大和和紀/講談社
※「嵐が丘 上下」E.ブロンテ/田中西二郎 訳/新潮文庫

アイコン